なとりの「プロポーズ」と「セレナーデ」には「幸せ」という歌詞が出てくる。そこから、名取が描いた幸せを紐解いていこうと思う。
①プロポーズ
プロポーズでは、bridgeの、「幸せってなんだろね。難しいことわっかんね!」という文脈で幸せが登場する。前後の歌詞と合わせて要約すると、「もう君の気持ちも幸せが何かもわっかんねえ!」という意味になる。つまり、幸せが何かわからなくなった結果、「君」というプロポーズの相手との間に壁を作り、距離を取ることを選択したのだ。また、曲の中での主人公の「あなた」との関わり方を紐解いていこう。1番では、「どうして僕ばっか」「どれも嫌いだった」「どう頑張っても僕は普通」と、自分に自信のない後ろ向きな言葉が続く。また、相手との関係がどうというより、自分がどうなのかを優先しているように見える。プロポーズの直前とは思えない言葉(笑)だが、二番からは主人公の気持ちの方向が変わる。二番では、「なんであなたばっか」「どう考えても君に夢中」「二人で知らない星にでも逃げましょう」と、「あなた」のことを考えた発言が増えるのだ。しかし、「関係はどうも曖昧っで野暮ったいがゾッコン」「でもねわからないよ」と、あなたのことを理解できない心情も浮上。曲はラストへと向かう。ここで、冒頭に述べたフレーズが登場する。おそらくプロポーズは失敗したのだろう。それで自分に諦めをつけるため、自分自身が幸せになるために「もう君のことわっかんね!」と、理解することを拒絶することを放つ。

②セレナーデ
セレナーデでは、サビの重要なフレーズ「僕なしでうまく幸せになってね」という形で幸せが登場する。これは、自分がいなくなった後の相手の幸せを切実に願う言葉。自分の幸せを見つけるために相手と離れた、プロポーズの「幸せ」とは対照的に、相手の幸せのために自分がいなくなることを選んだのだ。また、二番のサビ、「こんな悲しい結末でごめんね」は、自分が幸せにしてやれなかったことを悔やみ、1番同様、相手の幸せを願う言葉として使われている。また、サビの頭の「僕に触れないで」という歌詞、自分では相手を幸せにすることはできないと悟り、相手の幸せのために相手を拒絶するのである。ここもプロポーズとは対照的である。
③結局「幸せ」とは
セレナーデとプロポーズの共通点から考えよう。大きな共通点は、「幸せのために拒絶する」という部分である。そこから、おそらくなとりが描こうと幸せは、「窮屈から解放されて自由なこと」なのではないか。プロポーズでは最愛の相手のことを理解できないあまり、幸せの形を見失ってしまった。セレナーデでは、相手の幸せを願うあまり、自分が離れるという美しくも、「悲しい結末」を呼んでしまった。どちらも、相手への大きな気持ちが原因で、心が窮屈で、自由が失われた状態にある。どちらの曲の主人公も、幸せを願うあまり、自分を閉じ込めてしまった。僕はこの二つの曲を聴いて、どこでもないどこかへ走り出したい気持ちになった。皆さんもこの二つの曲を聴いて、幸せを再確認してみるのはどうか。



最終更新日時: 2026/07/24 14:01

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