今日はバレンタインデー、あらゆる場所からチョコレートの甘い香りと仲睦まじい人々の声が流れてくる。
そう言えば、ホタルは無事チョコレートを渡せただろうか。タケルへの恋を自覚したんだかしてないんだか知らないが、「チョコを作る」と言い出したのには驚いた。その後「うどんとかに入れるよね」などと言って、チョコレートに火薬をぶちこんだのはさらに驚いた。その後はひたすら俺が手を加えて、できたチョコレートは気がつけばほとんど俺が作った気がする。別に構わないが。
それにしても恋か…物思いに耽りつつ、街を歩く。ふと、寄生は恋人からチョコレートを貰えたのだろうか、と思った。そして、アイツは自分より先にいなくなるような人間と付き合って何を思っているのだろう。幸せなのだろうか。…アイツの思考は常に読めないが、少なくとも、俺は辛すぎると思う。別れというものは、何十、何百と繰り返そうとも、ずっとずっとずっと…慣れは訪れない。悲しみは、毎年のごとく訪れる。それは関係性が「友達」でも「相棒」でも「上司と部下」でも変わらない。ならば「恋人」はどうなる?俺が先程まで列挙していた関係性より、ずっと重たい関係。きっと失えば心に空洞…どころか心が消え失せてしまうだろう。俺はきっと耐えられない。だからこそ、この260年間、ずっと独り身だ。きっとこれからも。



最終更新日時: 2024/02/14 21:25

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