空母「マリア」内 会議室

柊 瑠瑚(ひいらぎ るこ)は出口に向かって駆け出した。深い赤紫色の長い髪が空を切る。

「柊中尉、どこへ行くつもりだ、まだ総括は終わっていないぞ!」

柳川少将の怒声が響くが、呼ばれた方、柊は負けじと言い返す。

「もちろんスピルウィアー星です。あいつはゲートがスピルウィアー星に繋がっていると言っていました。向こうから送る事が可能ならこちらから行く事も可能なはずです。」
「そんな事を聞いたのではない!ともかく勝手な行動は慎みたまえ!」

柊は無視してそれでもなお出ていこうとするが、グッと肩を掴まれる。

「柊、また回りが見えなくなっているぞ、その状態でスピルウィアー星に行けたとしてもすぐに撃墜されるだけだぞ。」

崎村が止めるが、話を聞こうともしない。
そんな様子を見て柳川が自ら止めようと席を離れようとした時、横に連絡係の隊員が駆け込んで来た。

「柳川少将、管制室からの報告です。東京支部より太田司令官が特殊大型輸送機「風鳶(ふうえん)」でこちらに向かったとの事です。」
「何?太田がここに来ると、私はそんな話は聞いていないぞ!?」

柳川は突然の一報に驚いた様だったがすぐに気をとり直すと

「仕方ない、総括は一時中断とする。各自それぞれの持ち場に戻ってくれ、ただし柊中尉、君に勝手な真似をされる訳にはいかん、君の上司である太田にもこの事を報告せねばな、誰か監視役を、そうだな」
「柳川少将、監視役でしたら私が引き受けます。」

思案している柳川を見て楊が手を挙げる。

「では、楊中尉よろしく頼む、場所は4番休憩室を使うと良い」

そう言うと柳川は部下に連れられて状況を確認しに管制室へと向かった。

「休憩室になんか行きたくありません!ちょっと飛鈴も邪魔しないで!離せ!」
「つべこべ言わずにこっちに来なさい!青海と八重咲も手伝って!」

そう言いつつ楊と崎村達は柊を休憩室に連れていく。

―――――

「マリア」内 4番休憩室
とりあえず事が済むまで柊は休憩室で待機と言うことになった。
崎村は状況を確認しに会議室へと戻ったのでここにいるのは柊、楊、青海、八重咲の4人だけである。
柊はひとまず落ち着きを取り戻していたが楊に腕を掴まれたままである。

「楊中尉、お茶の準備が出来ました。柊中尉もどうぞ」

青海がお茶を入れてくれていた。

「ありがと、それじゃ私は手を離すから今度は八重咲が柊を押さえててね」
「了解しました!」
「……もう大丈夫です。勝手に出ていったりしませんから」

さすがに30分位も抑えっぱなしにされては観念するしかない
ようやく解放されると、青海から注いで貰ったお茶に手を伸ばした。

「太田司令が直接来るなんて聞いてませんよ?柊中尉は知ってたんですか?」
「いや、私も知らなかったけど……」

八重咲は言った。
それぞれ思案していると、崎村が伝言を伝えに来た。

「柊、八重咲、青海、君達は司令が乗って来られた輸送機で一緒に東京支部まで戻れとの事ダ」
「私達だけですか?一体どうして……」
「太田司令の意図は分からないが、早く控え室に戻って荷物をまとめて来た方が良いだろうネ」

―――――――――――――――

柊は病室にいた治療中の弓削、瀬川兄妹や他の隊員達にも挨拶を済ませ、格納庫に向かおうとすると誰かから声をかけられた。

「お前の機体の名前『スターダンサー』って名前だったんだな、さっきのスライドで見たよ」

純白の髪の青年が近付いてきた。たしかこの人の名前は……煉だったかな

「そうですけど……すいません急いでいるので」
「連れないねえ、せっかく警告してあげようとしてるのに」
「警告?」

本当に八重咲はこの人に親切にして貰っていたのかという疑問が浮かんだが

「それじゃ、自分の目を見せようとしない人物には気を付けてね」

そう言って煉は柊に背を向け「じゃあね」と行ってしまった。
柊は何だったんだと思いつつも格納庫に向かった。



LastUpdate: 2018/02/13 22:45
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